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米SEC、移管代理人規則を約40年ぶり全面改正へ。トークン化証券の記録管理を明文化

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米証券取引委員会(SEC)は9月1日、株主名簿の管理や株式の移転処理を担う「移管代理人(トランスファーエージェント)」に関する規則の全面改正案を公表した。421ページに及ぶ提案書は、ブロックチェーン上での記録管理とトークン化証券の扱いを繰り返し取り上げている。(参考: SEC「SEC Proposes to Modernize Rules for Registered Transfer Agents」)

この記事のポイント

  • 移管代理人規則の実質的な改定は1970年代後半から1980年代初頭以来で、SECは既存規則の改正・1規則の廃止・新規則の新設をまとめて提案した。
  • 電子記録を扱う規則17ad-7、券面前提の要件をリスク管理の枠組みに置き換える規則17ad-12、譲渡制限文言を扱う新規則17ad-31が柱となる。
  • 様式TA-2では分散型台帳で管理する銘柄の開示を求め、発行体がスポンサーとなるトークンと第三者によるトークンを区分して報告させる設計になっている。

約40年ぶりの規則見直しと委員らの見解

移管代理人は、発行体に代わって株主名簿を管理し、株式の移転や配当の支払代理を担う登録業者である。SECのプレスリリースによると、移管代理人が担う業務は多様化しているにもかかわらず、規則は最初に整備された1970年代後半から1980年代初頭以降、実質的な改定が行われてこなかった。

ポール・アトキンス委員長は声明で「この提案は、証券の募集や株式の移転に関連する電子的通信およびブロックチェーン技術の利用を含め、移管代理人の現在のプロセスと業務実態を反映するよう、委員会の規則を簡素化し近代化するものだ」と述べた。市場・取引部門のジェイミー・セルウェイ局長も「技術が変化し、競争的な市場が進化する以上、良い統治のためには既存の規則や規制を見直す必要がある」とコメントしている。(参考: SEC・プレスリリース 2026-81)

ヘスター・パース委員は個別の声明で「委員会は移管代理人規則をほぼ30年間、大きく改定してこなかった」と指摘したうえで、「移管代理人をはじめとする市場参加者は、多くの株式がトークン化される将来を見据えている」と記した。同委員は「トークン化証券のオンチェーン取引を促進するために調整すべき移管代理人規則はあるか」と問いを立て、意見提出を促している。(参考: SEC「Time to Transfer: Statement on Proposed Transfer Agent Rules」)

マーク・ウエダ委員は、これまでの「執行による規制」の手法について「明確性も予測可能性ももたらさなかった」と述べたと報じられている。規模としては、2025年報告年度に様式TA-2を提出した登録移管代理人は253社で、うち152社が記録管理業務、126社が支払代理業務を担っていた。(参考: crypto.news「SEC proposes transfer agent overhaul for tokenized securities」)

用語の整理

移管代理人(トランスファーエージェント)
発行体に代わって株主名簿を作成・管理し、株式の移転記録や配当の支払代理を行うSEC登録業者。日本の株主名簿管理人に近い機能を担う。
トークン化証券
株式や債券などの証券を、ブロックチェーン上のトークンとして記録・移転できるようにしたもの。
制限文言(restrictive legend)
未登録証券などに付され、譲渡が制限されている旨を示す表示。券面や記録に付記され、条件を満たすまで自由な売買ができないことを示す。
DTCC
米国の証券決済インフラを運営する機関。傘下のDTCが株式の保管・振替を担う。

電子記録・リスク管理・制限文言の新ルール

提案の柱は3つの規則にある。規則17ad-7は電子的な記録管理システムを正面から扱い、記録の完全性・可用性・再現性・冗長性・業務継続を守る統制を求める。規則17ad-12は、証券券面の保管を前提とした従来の要件を、保管リスク・オペレーショナルリスク・サイバーセキュリティリスクを対象とするリスク管理の枠組みに置き換える。

新設される規則17ad-31は、譲渡制限を示す制限文言の取り扱いについて基準を定める。トークン化された証券では、スマートコントラクトのロジックによって譲渡制限を実装する形が想定されている。加えて様式TA-2では、分散型台帳上で管理している銘柄の開示が新たに求められ、発行体がスポンサーとなるトークンと第三者がスポンサーとなるトークンを区分して報告させる。(参考: Crypto Briefing「SEC proposes first major transfer agent overhaul in decades」)

項目 従来の規則 改正案
記録の保存方式 紙・マイクロフィルムを想定した規定が中心 電子記録システム(規則17ad-7)を明記し、分散型台帳の利用も対象に含める
リスク管理 証券券面の保管・紛失防止が中心(規則17ad-12) 保管・オペレーション・サイバーセキュリティを包含するリスク管理の枠組みへ転換
譲渡制限 個別規則としての明文規定なし 新規則17ad-31で制限文言の取り扱い基準を新設
報告様式 様式TA-2で業務内容を年次報告 分散型台帳上の銘柄を開示し、発行体承認型と第三者型を区分して報告

ナスダックのトークン化株式承認からの流れ

今回の提案は単独で出てきたものではない。SECは2026年3月18日、一部の株式と上場商品をトークン化した形で取引・決済できるようにするナスダックの規則変更を承認している。トークン化された株式もブローカーを通じて取引され、DTCCを経由して決済される設計で、ブロックチェーンは主として所有記録の代替手段として使われる。

DTCCによれば、対象となるDTC適格証券にはラッセル1000構成銘柄や、S&P500・ナスダック100などの主要指数に連動するETFが含まれ、2026年後半に段階的な展開が見込まれている。(参考: CoinDesk「SEC approves Nasdaq’s move to allow tokenized securities trading」)

クラーケンのトークン化株式プラットフォーム「xStocks」のジェネラルマネージャー、Val Gui氏は同承認について「126兆ドルの株式市場がブロックチェーンのレールへ移行していく明確なシグナルだ」と述べたと報じられた。(参考: Yahoo Finance「Nasdaq Wins SEC Approval for Tokenized Securities」)

これまでの経緯

2026年3月18日SECがナスダックのトークン化証券取引に関する規則変更を承認

2026年7月証券移管業者協会(STA)とコンチネンタル・ストック・トランスファーが、発行体承認トークンと第三者トークンの区別をSECに要請

2026年9月1日SECが移管代理人規則の改正案(421ページ)を公表。60日間の意見募集へ

2026年9月17日SECが24時間取引に関する円卓会議を開催予定(ロビンフッド、ナスダック、DTCC、Blue Ocean、24Xが参加)

2026年後半DTC適格証券のトークン化取引が段階的に展開される見込み

発行体承認トークンと第三者トークンの線引き

提案の中でも市場の関心を集めているのが、誰がトークンを発行したのかによる扱いの違いである。移管代理人業界は今回の提案に先立ち、SECに対して線引きを求めていた。

証券移管業者協会(STA)は2026年7月にSECへ提出した書面で、ブロックチェーン上の株式は発行体が承認し公式の株主記録に反映された実際の証券であるべきで、無関係のプラットフォームが作成したトークンとは区別すべきだと主張した。書面は「発行体承認トークンは、その会社の実際の株式ないし証券そのものである」と記している。(参考: CoinDesk「Wall Street transfer agents lobby SEC, warning that third-party tokens pose risks to market integrity」)

同書面は、第三者が作るトークン化株式の保有者は発行プラットフォームの信用リスク・カストディリスク・オペレーショナルリスクを負うと指摘した。所有構造が不明確な場合、保管方法や議決権、配当、破綻時の請求権について十分な開示が得られない可能性があるとしている。そのうえで、革新的免除や試験プログラム、ノーアクションレターといった枠組みは発行体承認型に限定して適用すべきだと求めた。

コンチネンタル・ストック・トランスファー・アンド・トラストも同様に、発行体がトークン化した証券と無関係のプラットフォームが作った商品を区別するようSECに要請していた。編集部の見方では、様式TA-2で両者を区分して報告させる今回の設計は、この線引きを規制側の報告体系に取り込む最初の一歩と考えられる(根拠: 提案書がトークン化された銘柄をスポンサー種別で分けて開示させる構成になっている点)。ただし、SECが第三者トークンの可否そのものを決定したわけではない。

日本のセキュリティトークン市場との違い

日本には米国の移管代理人に相当する制度として株主名簿管理人があり、上場株式の権利移転は社債株式等振替法に基づく振替制度で処理される。制度の建て付けが異なるため、今回のSEC提案がそのまま国内規則に影響するわけではない。

一方で、トークン化の実務そのものは日本でも先行して積み上がっている。三井住友トラスト基礎研究所の集計によると、国内のデジタル証券(セキュリティトークン、ST)の残高は2025年末時点で約5,831億円に達した。野村の総括レポートでは、公募STの累計発行額は2025年度に3,000億円を超え、2026年度には5,000億円規模に達する見込みとされている。

特徴的なのは裏付け資産の構成で、公募STの約85%が不動産を裏付けとする。個別案件では汐留シティセンターの公募発行額が約314億円、MUFGリアルティ・トークンの大阪堂島浜タワーが224億円と報じられている。(参考: 「日本の不動産ST市場が1兆円に届く年 ― なぜ日本のトークン化は『不動産から』始まったのか」)

米国が上場株式やETFのトークン化を既存の決済インフラの上に載せようとしているのに対し、日本は不動産を裏付けとするSTが市場の中心を占めている。同じ「トークン化証券」でも、対象資産と流通経路の設計が異なる点は押さえておきたい。

意見募集と今後の手続き

意見募集期間は連邦官報への掲載日から60日間である。SECは分散型ウォレットを従来の住所とどう扱い分けるか、オンチェーン取引でどのような詐欺リスクが生じるか、公式の所有者名簿とブロックチェーン上の記録がどう関係すべきかといった点について、具体的に意見を求めている。(参考: Cointelegraph「SEC Proposes New Standards for US Transfer Agents」)

提案は規則案の段階であり、採択の時期や最終的な内容は確定していない。SECは並行して投資会社における暗号資産のカストディ規則の見直しも進めており、9月17日には24時間取引に関する円卓会議を予定している。パース委員が声明で「移管代理人規則の更新が長く遅れることは、市場・投資家・発行体のいずれにとっても良くない」と述べたとおり、審議の速度そのものが論点になっている。

出典

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産・証券・金融商品の購入や売却を勧めるものではありません。投資助言には該当しません。暗号資産およびトークン化証券は価格変動リスクや制度変更リスクを伴い、元本を割り込む可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

なお、本記事はAIを活用して作成しています。正確性に努めていますが、内容が事実と異なる可能性があります。重要な情報はご自身で公式・一次情報をご確認ください。

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