米商品先物取引委員会(CFTC)は2026年10月5日、暗号資産に関する2つの規則案「Regulation CTX(Crypto Asset Transactions)」と「Regulation CAM(Crypto Asset Markets)」について、規則制定の事前通知(ANPRM)を公表した。個人投資家向けのレバレッジ・証拠金取引に連邦レベルの登録区分を設ける内容で、意見募集期間は連邦官報への掲載から60日間となる。
この記事のポイント
- CFTCが暗号資産に特化した初の正式な規則制定手続きとして、CTXとCAMの事前通知を公表した
- CTXは個人向けレバレッジ取引の規制範囲を定め、CAMは先物取引所をモデルにした新しい登録区分「暗号資産市場」を設ける
- 9月に上院でCLARITY法案が前進に失敗したことを受け、議会の立法を待たずに既存の権限で動いた形となる
CTXとCAMの事前通知の公表
CFTCのマイケル・セリグ委員長は10月5日、米フォーダム大学での講演に合わせて今回の事前通知を発表した。CoinReporterによると、2つの規則案は個人向けのレバレッジ・証拠金取引を提供する取引所に対し、連邦の登録区分を用意するものだ。(参考: CoinReporter「CFTC opens Regulation CTX and CAM after Clarity Act stalls」)
事前通知(ANPRM)は、正式な規則案を出す前に業界や市民から意見を集める段階の手続きである。今回の内容はまだ確定した規則ではなく、意見募集、正式な規則案の公表、委員会での最終採決を経て初めて効力を持つ。
Altcoinbuzzによれば、CFTCは9月の時点で同じ規則制定案をホワイトハウスに提出していた。根拠となるのは商品取引所法(CEA)第2条(c)(2)(D)で、レバレッジや融資を伴う個人向けの商品取引を対象とする条項だ。(参考: Altcoinbuzz「CFTC Proposes First Crypto Rules as CLARITY Act Stalls」)
2つの規則案の対象と主な要件
CTXは、どの個人向け暗号資産取引がCFTCの管轄に入るかを定める規則案である。PYMNTSによると、レバレッジを伴う個人向け取引は、資産が顧客に「実際に引き渡される」場合を除き、CFTC登録の取引所で行うことを求める。引き渡しは、顧客が秘密鍵を管理するか、個人のウォレットにオンチェーンで送金される状態と解釈される。(参考: PYMNTS「CFTC Moves to Build Federal Rulebook for Crypto Exchanges After Clarity Act Fails」)
CAMは、先物取引所(指定契約市場、DCM)の枠組みをモデルに、新しい登録区分「暗号資産市場」を設ける。登録取引所は、マネーロンダリング対策の義務を負う先物取次業者(FCM)を通じて取引を処理する。顧客資産をまとめて管理するオムニバス口座を持つ取引所には、準備金証明(プルーフ・オブ・リザーブ)の義務も検討されている。
一方、レバレッジを使わない現物の売買は今回の対象外となる。CoinReporterは、すべての現物取引をCFTC登録の場に移すものではないと伝えた。
用語の整理
- ANPRM(規則制定の事前通知): 正式な規則案の前に、論点を示して意見を募る手続き。
- DCM(指定契約市場): CFTCに登録された先物などの取引所。
- FCM(先物取次業者): 顧客の注文を取り次ぎ、証拠金を預かるCFTC登録業者。
- 実際の引き渡し: レバレッジ取引の規制から外れるための要件。暗号資産では顧客が資産を自分で管理できる状態を指す。
- プルーフ・オブ・リザーブ: 取引所が顧客の預かり資産に見合う準備金を持つことを示す証明。
Coin-Turkは、CFTCが想定する規制の全体像を3つの層で整理している。
| 区分 | 対象となる取引 | 主な規制の枠組み |
|---|---|---|
| 第1層 | レバレッジなしの現物取引 | 州の送金業規制。CFTCは詐欺・相場操縦の取り締まりを担う |
| 第2層 | 個人向けの証拠金・レバレッジ取引 | 今回のCTX・CAMによる暗号資産向けの新しい要件 |
| 第3層 | 先物・スワップなどのデリバティブ | 既存のDCM規則 |
(参考: Coin-Turk「CFTC launches new crypto regulation proposal, seeks public comment on CTX and CAM rules」)
CFTCは、新しい登録は義務ではなく「既存の州のライセンス制度と並ぶ連邦の選択肢」だと説明している。CoinReporterは、州ごとに送金業の免許を積み上げる従来のやり方に比べ、単一の連邦ライセンスで済む分、費用と時間を抑えられる可能性があると伝えた。
CLARITY法の頓挫と規則制定への切り替え
今回の動きの背景には、暗号資産の市場構造法案「CLARITY法」の停滞がある。Altcoinbuzzによると、上院は9月に同法案を前進させる手続き採決を49対50で否決した。可決には60票が必要だった。
CLARITY法は、デジタル資産の現物市場に対するCFTCの権限を広げ、SECとの管轄の線引きを定める内容だった。議会では約2年にわたり審議が続いていたとPYMNTSは伝えている。
経緯
2026年9月CFTCがCTX・CAMの規則制定案をホワイトハウスに提出
2026年9月上院でCLARITY法案の手続き採決が49対50で否決
10月5日セリグ委員長がフォーダム大学で事前通知を発表
今後連邦官報への掲載後60日間の意見募集、正式な規則案、最終採決へ
Altcoinbuzzは、SECも議会を待たずに暗号資産のカストディ規則を進めている点を挙げ、規制当局が個別に動き出していると伝えた。
セリグ委員長の説明と各メディアの見方
セリグ委員長は今回の枠組みについて、「FTXのような不正なスキームを事後に訴追するだけでなく、未然に防ぐための設計だ」と述べた(PYMNTSより)。CoinReporterによると、講演では「FTXのCFTC登録子会社の資産は分別管理されていた。未登録側はそうではなかった」との対比を示し、連邦の登録区分が必要な理由を説明した。
同委員長はまた、今回の措置を「米国の消費者が暗号資産を取引する際の明確さと保護を高める重要な一歩」と位置付けた。ただし、規則制定は「議会による立法の代わりにはならない」とも述べ、現物市場に対するCFTCの権限が限られている点を認めた(Altcoinbuzzより)。
Forbesは、CFTCが米国内のレバレッジ型暗号資産取引のルール作りに動いたと報じた。(参考: Forbes「CFTC Moves To Set Rules For Leveraged Crypto Trading In The U.S.」)
CoinReporterは今回の公表について、取引所の反応よりも議会への圧力という側面が大きいとの見方を示している。編集部の見方では、規則で扱える範囲がレバレッジ取引に限られる以上、現物市場を含む包括的な枠組みは引き続き立法に委ねられると考えられる(根拠: セリグ委員長自身が立法の代わりにならないと述べている点)。
意見募集の焦点と今後の手続き
CoinReporterによると、事前通知では次のような点について意見を求めている。
- 顧客資産の分別管理の基準
- 取引所に求める自己資本の要件
- 個人向けレバレッジ取引と現物購入をどう区別するか
Altcoinbuzzは、全国統一の規制基準、不正な取引慣行の防止策、コンプライアンス上の期待水準、暗号資産向けDCMの新しいサブカテゴリーなども論点に挙げている。
意見募集は連邦官報への掲載から60日間で、その後に正式な規則案の公表と委員会の最終採決が控える。最終的な規則の内容や施行時期は、現時点では確認できていない。
国内取引所を利用する日本の投資家に直接の影響が出る話ではない。ただ、米国でレバレッジ取引の受け皿が整えば、海外大手取引所の米国事業やサービス設計に影響が及ぶ可能性がある。編集部としては、意見募集で取引所側がどのような反応を示すかが次の確認点になると考える。
出典
- PYMNTS「CFTC Moves to Build Federal Rulebook for Crypto Exchanges After Clarity Act Fails」
- CoinReporter「CFTC opens Regulation CTX and CAM after Clarity Act stalls」
- Altcoinbuzz「CFTC Proposes First Crypto Rules as CLARITY Act Stalls」
- Coin-Turk「CFTC launches new crypto regulation proposal, seeks public comment on CTX and CAM rules」
- Forbes「CFTC Moves To Set Rules For Leveraged Crypto Trading In The U.S.」
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。暗号資産への投資は価格変動リスクを伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。
なお、本記事はAIを活用して作成しています。正確性に努めていますが、内容が事実と異なる可能性があります。重要な情報はご自身で公式・一次情報をご確認ください。


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