米上院共和党は9月10日、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定める法案「CLARITY法(デジタル資産市場明確化法)」の修正案を公表した。全文は630ページある。上院では9月15日に、法案の審議に入るかどうかを決める最初の手続き投票が予定されている。
この記事のポイント
- 修正案では、実態が分散型ではないDeFi(分散型金融)プロトコルにCFTCへの登録を義務付けた。ルミス上院議員は、民主党の要望による修正が114項目を超えると説明している。
- 15日の投票はクローチャー(討論終結)動議の採決で、可決には60票が必要。Politicoは、修正案を支持する民主党議員は現時点でいないと報じた。
- ステーブルコインの利回りの扱いをめぐり、銀行業界の足並みが割れている。倫理規定も引き続き争点になっている。
修正案の主な変更点
CLARITY法は、どのデジタル資産をSEC(米証券取引委員会)が監督し、どれをCFTC(米商品先物取引委員会)が監督するかを定める法案だ。暗号資産の取引や仲介に、連邦レベルで統一したルールを設けることを目的としている。
今回の修正案で大きく変わったのはDeFiの扱いだ。人や特定のグループが実際に管理している取引プロトコル、いわゆる「名ばかり分散型」のプロトコルに、CFTCへの登録を義務付けた。具体的なルールはCFTCと財務省が策定する。(参考: Decrypt・Senate Republicans Release Revised Clarity Act Ahead of September 15 Vote)
DeFiに関する規定の対象は、デジタルコモディティの現物・現金取引に絞られた。予測市場の扱いに懸念を示していた先住民部族の政府に配慮した変更だとされる。このほか、信用組合が暗号資産業務を行う際のルールも明確にした。(参考: The Block・Senate Republicans unveil revised crypto bill ahead of key Clarity Act vote next week)
法案を主導するシンシア・ルミス上院議員(共和党、ワイオミング州)は声明で「民主党の同僚議員の要望に応じて114項目を超える規定を盛り込んだ。その結果、この法案は超党派の強い成果物になった」と述べた。民主党が求めていた項目としては、詐欺の前歴者を業界から締め出す規定、CFTCへの1億5,000万ドルの予算措置、バイナンスのような事業者への取り締まり強化を挙げている。
上院審議の経緯
2025年7月CLARITY法が米下院で可決される
2026年5月上院銀行委員会が15対9で法案を可決
2026年7月ゴールドマン・サックスのソロモンCEOが法案の前進を支持し、JPモルガンのダイモンCEOは利回り規定を批判
2026年8月7日本会議での審議が夏季休会明けの9月に持ち越しとなる
2026年9月10日上院共和党が630ページの修正案を公表
2026年9月15日クローチャー動議の手続き投票(予定)
上院のジョン・スーン多数党院内総務(共和党)は8月、「民主党は採決をしないよう強く求めている。法案の提出者と調整し、(休会明けに)真っ先に採決にかけられるよう準備している」と述べ、休会明けに優先して取り上げる考えを示していた。当時は民主党の反対に加え、中間選挙を控えて本会議の審議時間が限られていることも、先送りの理由とされた。(参考: American Banker・As divisions linger, Senate punts CLARITY Act to September)
9月15日のクローチャー投票と票読み
15日の投票は、法案そのものへの賛否を問うものではない。審議入りを阻む討論を打ち切るためのクローチャー動議の採決だ。これが可決されて初めて、本会議での審議や修正案の提出、法案本体の採決に進める。
業界団体で政策を担当するタイラー・ウィリアムズ氏は「手続き投票が成功しない限り、中身の議論には入れない」と語った。一方で、法案に反対する議員が問題視する条項を修正するには、審議入りを認める必要があるという見方もある。(参考: CoinGape・CLARITY Act LIVE Updates Today Sept. 12)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 可決に必要な票数 | 60票 |
| 共和党の議席 | 53議席(民主党・無所属から少なくとも7票が必要) |
| 委員会段階で賛成した民主党議員 | ルーベン・ガイェゴ議員、アンジェラ・オールスブルックス議員の2人 |
| 修正案への民主党の支持 | 現時点ではゼロ(Politico報道) |
| 共和党内の懸念 | ホーリー議員とモラン議員が、地方銀行への影響を理由に反対の立場を示していた(8月時点) |
Politicoは、修正案を支持する民主党上院議員は現時点でいないと報じた。共和党の53議席で60票に届かせるには、民主党か無所属の議員から少なくとも7票が必要になる。(参考: Blockhead・Senate Republicans Release Revised 630-Page CLARITY Act Text Days Before Sept. 15 Vote)
ルミス議員は民主党に対し「CLARITY法が成立しなければ、その後の事態の責任は民主党が負うことになる」と述べ、法案が廃案になれば連邦レベルの保護も開示ルールもない状態が続くと主張した。業界側では、支持団体Stand With Cryptoの呼びかけで、8月に支持者が議会へ連絡した件数が5万件近くに上ったとDecryptが伝えている。
ステーブルコイン利回りをめぐる銀行業界の対立
審議の行方を左右するもう一つの争点が、ステーブルコインの利回り(報酬)の扱いだ。法案はステーブルコイン発行体による利回りの支払いを制限している。しかし銀行業界団体は、暗号資産事業者などが報酬の形で実質的に利息を支払う抜け道が残っており、預金の流出を防ぐには不十分だと主張している。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、この法案では暗号資産事業者が「本来あるべき保護もないまま、預金やステーブルコインなどに事実上の利息を払えてしまう」と批判した。そのうえで「銀行はそのような形では受け入れない」と述べている。
一方、ゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOは「CLARITY法は、どの法案もそうであるように完璧ではない」と認めつつ、「市場構造を整えてイノベーションを進めるため、CLARITY法の前進を強く支持している」と語った。(参考: CoinDesk・Goldman Sachs CEO backs Clarity Act despite banking industry’s concerns over stablecoin rules)
CoinDeskによると、大手投資銀行にとってこの法案は、銀行持株会社法の下で暗号資産の取引、ステーキング、貸付を行う法的根拠をはっきりさせる意味がある。一方、地方銀行や信用組合は地元の議員とのつながりを生かしてロビー活動を続けている。マーケットメーカーWintermuteで政策責任者を務めるロン・ハモンド氏は「銀行業界が割れているのは、ロビー活動の面で非常に興味深い」と指摘した。
倫理規定をめぐる民主党の要求
民主党がなお強く求めているのが、倫理規定の強化だ。修正案には、公職者やその配偶者がデジタル資産を発行したり後援したりすることを禁じる規定がある。ただし執行は州司法長官ではなく連邦司法省が担い、規定の効力は2029年1月に切れる。
The Blockによると、民主党は執行の独立性が足りないと批判しており、トム・ティリス上院議員(共和党)と共同で別の倫理規定案を示した。争点の中心は、World Liberty Financialやミームコイン「TRUMP」に関連するトランプ大統領の暗号資産保有にどう対処するかで、この点はまだ決着していない。
用語の整理
- クローチャー動議: 上院で議事妨害(フィリバスター)を打ち切り、審議や採決に進むための動議。可決には原則60票が必要。
- 名ばかり分散型(DeFi in name only): 分散型をうたいながら、実際には特定の人やグループが管理している取引プロトコル。
- デジタルコモディティ: 法案上、CFTCの監督対象とされる商品性のデジタル資産。
今後の論点
最初の関門は、15日のクローチャー投票で60票を集められるかどうかだ。可決されれば本会議で修正の議論が始まり、利回り規定や倫理規定がさらに変わる可能性がある。上院で可決された場合は、2025年に可決済みの下院案との違いを調整する手続きも必要になる。
否決された場合について、ルミス議員は「今後何年も、正しく制度を作る最後の現実的な機会だ」と述べている。編集部の見方では、中間選挙を控えて本会議の審議時間が限られていることを考えると(根拠: 8月の先送り理由に審議時間の不足が挙げられていた)、否決されれば年内に再び採決にかける余地は小さいと考えられる。ただし、民主党側がどの条件で賛成に回るのかは、現時点で公式には確認できていない。
出典
- The Block: Senate Republicans unveil revised crypto bill ahead of key Clarity Act vote next week
- Decrypt: Senate Republicans Release Revised Clarity Act Ahead of September 15 Vote
- Blockhead: Senate Republicans Release Revised 630-Page CLARITY Act Text Days Before Sept. 15 Vote, Still No Democratic Support
- CoinGape: CLARITY Act LIVE Updates Today Sept. 12
- CoinDesk: Goldman Sachs CEO backs Clarity Act despite banking industry’s concerns over stablecoin rules
- American Banker: As divisions linger, Senate punts CLARITY Act to September
免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、元本を失うおそれがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。なお、本記事はAIを活用して作成しています。正確性に努めていますが、内容が事実と異なる可能性があります。重要な情報はご自身で公式・一次情報をご確認ください。


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