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Blockstream、Liquid流出の身代金要求を拒否。598.5BTC未返還のまま取引再開

ビットコイン(BTC)
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ビットコインのサイドチェーン「Liquid Network」を運営するBlockstreamは9月11日、9月6日の不正引き出しで未返還となっている598.5BTCについて、実行犯への支払いに応じない方針を表明した。同ネットワークは約4日間の停止を経て、同日までに通常の取引を再開している。(参考: The Block「’Return the bitcoin’: Blockstream refuses ransom demand for remaining 600 BTC from Liquid exploit」)

この記事のポイント

  • 9月6日、Liquidのフェデレーション準備金は約4,205BTCから197BTCへ減少した。秘密鍵の漏洩ではなく、基盤ソフト「Elements」の検証キャッシュの欠陥が原因だと報告されている。
  • 実行者は「ホワイトハット」を名乗って3,400BTCを返還した一方、598.5BTCを保持したまま報奨金として資産の10%を要求した。Blockstreamはこれを窃盗と位置づけ、支払いを拒否した。
  • ブロック生成と通常取引は再開したが、L-BTCをビットコインに戻す「ペグアウト」は停止が続く。準備金の穴をどう埋めるかは現時点で確認できていない。

4,000BTCの不正引き出しとネットワーク停止

Liquid Networkの公式インシデント報告によると、問題の取引が実行されたのは9月6日15時53分10秒(UTC)、Liquidのブロック高4,050,336だった。裏付けとなるビットコインを預けないままL-BTCが生成され、それがペグアウト(サイドチェーンからビットコインへの払い戻し)として処理された。

この結果、フェデレーションが管理するビットコイン準備金は約4,205BTCから197BTCまで減少した。減少幅は全体の約95%にあたる。当時のビットコイン価格で約3億2,000万ドル相当とされる。(参考: Protos「How 4,000 BTC walked out of Blockstream’s Liquid Network」)

Liquidのフェデレーションは15の「ファンクショナリー」と呼ばれるノードが鍵を分散保管し、ペグアウトには15分の11の署名を必要とする。今回はその11の署名が実際に付与されており、鍵そのものが盗まれた形跡はないとされる。署名者側が取引を有効と判定してしまった点が事件の性格を決めている。

Blockstreamは発覚後にブリッジノードを停止し、L-BTCの取引と払い戻しを止めた。Liquid上で発行されているテザー社のUSDTやトークン化された実物資産(RWA)は攻撃自体の対象にはならなかったが、停止期間中は動かせない状態に置かれた。

発生から取引再開までの経緯

9月6日

13時52分(UTC)、キャッシュに細工した下準備の取引がブロック4,050,335に記録される。約1分後のブロック4,050,336で、裏付けのないL-BTC 3,998.5枚がUTXOセットに出現した。
9月7日

16時09分(UTC)、実行者がフェデレーションのペグウォレットへ3,400BTCを返還。残る598.5BTCは保持されたままとなる。ネットワークは停止状態が続く。
9月8日

緊急修正版「Elements v23.3.4」が公開。キャッシュキーに長さ情報を付与し、キャッシュを完全に無効化する緊急スイッチも追加された。
9月10日

ブロック生成が再開。Blockstream共同創業者のアダム・バック氏が11時02分(UTC)にペグの補填方針を投稿した。
9月11日

約4日ぶりに通常の取引が再開したと発表。同日、Blockstreamは身代金を支払わない方針を明らかにした。ペグアウトは引き続き停止。

レンジプルーフ検証キャッシュの欠陥

Liquid Networkは9月8日のインシデント報告で、原因をオープンソースソフトウェア「Elements」におけるレンジプルーフ検証結果のキャッシュ処理の脆弱性だと説明した。Elementsはビットコインの実装であるBitcoin Coreから派生したソフトウェアで、Liquidのノードが動かしている。

セキュリティ企業SlowMistの分析によると、キャッシュの識別子(キー)は可変長のデータを区切り情報なしに連結して作られていた。このため、本来は別物である複数の入力が同一のキーに衝突し得る状態だった。実行者はまず正規の証明を含む取引でキャッシュに値を仕込み、続く取引で同じキーに衝突する出力を作った。

ノードはキャッシュが一致したと判断すると本来の検証関数と最小値チェックを省略するため、裏付けのない金額が有効なものとして受け入れられた。SlowMistは、この性能最適化のコードが2016年からElementsに存在していたと指摘している。8月3日の修正でハッシュに不足していた項目が追加されたものの、データの区切りの問題までは手当てされていなかったという。(参考: The Crypto Times「SlowMist Exposes Liquid Network Flaw: How a Cache Collision Minted 3,998 Unbacked L-BTC」)

用語の整理

サイドチェーン
本体のブロックチェーンと資産をやり取りしながら、別ルールで動く独立したチェーン。Liquidは高速な送金と資産発行を目的とする。
L-BTC
Liquid上でビットコインを1対1で表すトークン。預けたビットコインが準備金として保管されることで価値が裏付けられる。
ペグイン/ペグアウト
ビットコインを預けてL-BTCを受け取る操作がペグイン、L-BTCを戻してビットコインを引き出す操作がペグアウト。
レンジプルーフ
金額を秘匿したまま「その額が妥当な範囲にある」ことを数学的に証明する仕組み。Liquidの機密取引機能を支える。

10%の報奨金要求とBlockstreamの拒否

実行者は最初の引き出し取引にOP_RETURN(ブロックチェーンに短いデータを書き込む領域)を使い、「we are whitehats. contact us on chain(我々はホワイトハットだ。オンチェーンで連絡してほしい)」とのメッセージを残した。その後、連絡手段を追加で書き込み、交渉を求めたと報じられている。

The Blockによると、実行者は対象資産の10%を報奨金として支払うよう要求した。Blockstreamが「50億ドルの資産」を守るために費やしたのは「150万ドル、あるいはゼロかもしれない」と主張し、「自らの資金で10%を支払え。さもなければ保有者全員に15%の損失を負わせることになる」と迫ったという。

これに対しBlockstreamは9月11日、「盗まれた財産の返還に対価は支払わない。ユーザーを見捨てることもしない」と表明した。同社は今回の行為を責任ある脆弱性開示ではなく窃盗だと位置づけ、「ビットコインコミュニティは資金の追跡をやめない」としている。(参考: NADA NEWS「稼働再開のLiquidが声明『いかなる身代金も支払わない』」)

論点 実行者側の主張 Blockstream側の立場
行為の位置づけ ホワイトハットによる脆弱性の指摘 責任ある開示ではなく窃盗
598.5BTCの扱い 報奨金として保持。10%の支払いを要求 支払いには応じず、返還を要求
セキュリティ投資 資産規模に対して支出が過少だと批判 この点への直接の反論は確認できていない

取引再開とペグアウト停止の継続

Blockstreamは9月8日に緊急修正版のElements v23.3.4を公開した。キャッシュキーに長さ情報を加えて衝突を防ぐほか、キャッシュ結果をすべて拒否する緊急停止スイッチ「-norangeproofcache」を導入している。同社によれば、このリリースは内外の複数チームによるレビューを経ている。

復旧は段階的に進められた。9月10日にブロック生成が再開し、その後に通常の取引が戻った。NADA NEWSは9月11日、約4日ぶりに取引が再開したと伝えている。一方で、L-BTCをビットコインへ戻すペグアウトは準備金の回復作業が終わるまで停止が続く。(参考: NADA NEWS「約4000BTC流出のLiquid、約4日ぶりに取引再開──脆弱性を修正」)

Blockstream共同創業者でCEOのアダム・バック氏は9月10日、「L-BTCとBTCの1対1のペグは補填される」と投稿し、保有者に対して「慌ててOTCで売却しないように」と呼びかけた。ただし補填の原資や金額、時期についての具体的な説明は現時点で確認できていない。(参考: The Crypto Times「Liquid Network Restarts After $320M Exploit; Adam Back Says LBTC Peg Will Be Covered」)

編集部の見方では、ペグアウトが実際に再開するまでは相対取引でL-BTCが額面割れで売買される状態が続きやすい。根拠は、準備金が198BTCから3,600BTC前後まで戻ったとしても未返還分の598.5BTCが埋まっておらず、1対1の交換が全保有者に対して同時に保証されている状態ではないためである。

フェデレーション型サイドチェーンに残る論点

今回の事案で残された論点は大きく三つある。第一に、未返還の598.5BTCが戻る見通しは立っていない。Blockstreamが支払いを拒否した以上、追跡と法的手段に移る可能性が高いが、具体的な対応は公表されていない。

第二に、準備金の不足分を誰が負担するかという点である。バック氏はペグの補填を明言したが、Blockstreamの自己資金によるものか、フェデレーション参加組織で分担するのかは示されていない。Liquidのフェデレーションには2026年第1四半期時点で87の組織が参加していると報じられている。

第三に、検証ロジックの監査体制である。今回の欠陥は鍵管理やマルチシグの閾値ではなく、10年近く前に入った性能最適化のコードに起因していた。マルチシグの署名者が複数いても、全員が同じ実装を動かしていれば同時に同じ誤判定をする。この構造的な弱点は、フェデレーション方式を採る他のブリッジやサイドチェーンにも共通する。

Liquidは2018年の稼働開始以来、大規模な資金流出を起こしていなかった。ビットコイン本体のセキュリティとは切り離された「周辺インフラ」のリスクとして、どこまで情報開示と補填が行われるかが、今後の利用判断の材料になる。

出典

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本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を失う可能性があります。投資の判断はご自身の責任で行ってください。なお、本記事はAIを活用して作成しています。正確性に努めていますが、内容が事実と異なる可能性があります。重要な情報はご自身で公式・一次情報をご確認ください。

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