フランクリン・テンプルトンは2026年6月23日、暗号資産アクティブ運用会社「250 Digital」の買収を完了し、機関投資家向け暗号資産専門部門「Franklin Crypto」を正式に発足させた。
この記事のポイント
- 運用資産1.78兆ドルの大手資産運用会社が暗号資産専門部門を独立組織として設立。CoinFundの精鋭チームが丸ごと移籍する形となった。
- 買収対価の一部に、フランクリン・テンプルトン自身が発行するトークン化ファンド持分「BENJIトークン」を活用。大手M&Aでトークン化証券を決済手段に用いた業界初の事例として注目される。
- 年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドを主要顧客に想定し、既存の35カ国ネットワークを通じて機関投資家向けアクティブ運用戦略を展開する。
目次
250 Digitalとは、買収の経緯
2026年1月
250 DigitalがCoinFund Management LLCの流動性暗号資産戦略部門をスピンオフとして独立。Christopher Perkins氏、Seth Ginns氏が主導する暗号資産アクティブ運用会社として設立された。
2026年4月1日
フランクリン・テンプルトンが250 Digitalとの買収合意を発表。同時に暗号資産専門部門「Franklin Crypto」の設立を宣言した。
2026年6月23日
買収手続きが完了し、Franklin Cryptoが正式に活動を開始。250 Digitalのチームと流動性暗号資産ポートフォリオ戦略が全面移管された。
250 DigitalはCoinFundが長年培ってきたトークン市場投資のノウハウと人材を継承する形で設立された企業だ。CoinFundは2015年設立のブロックチェーン特化型投資会社で、取引所で売買可能なトークンへの直接投資(流動性戦略)を主力としてきた。250 Digitalはこの部門を切り出した企業であり、設立から約6カ月でフランクリン・テンプルトンに買収される形となった。
Franklin Cryptoの体制と投資戦略
Franklin Cryptoは250 Digitalの投資チームを全員取り込む形で発足した。部門責任者(Head of Franklin Crypto)にはChristopher Perkins氏、最高投資責任者(CIO)にはSeth Ginns氏が就任する。両氏はCoinFundの幹部として暗号資産運用の実績を積んできた経験者だ。これに加え、既存のFranklin Templeton Digital Assets部門のTony Pecore氏が引き続き役割を担い、旧来のデジタル資産運用の知見も体制に引き継がれる。
投資戦略は三つの軸で構成される。一つ目は流動性トークン市場への直接投資で、ビットコインやイーサリアムにとどまらず、DeFiや新興ブロックチェーン関連のトークンを対象にしたアクティブ運用を行う。二つ目はブロックチェーン基盤インフラへのベンチャー投資。三つ目はブロックチェーン資産に連動したストラクチャード・プロダクト(仕組み商品)の組成だ。フランクリン・テンプルトンの公式発表によると、同社は自社資本もFranklin Cryptoの流動性戦略に投資する計画だとしており、顧客との利益共有を示す姿勢を打ち出した格好だ。(参考: Franklin Templeton公式プレスリリース)
用語の整理
- 250 Digital
- 2026年1月にCoinFund Management LLCのスピンオフとして設立された暗号資産アクティブ運用会社。流動性トークン市場への投資を主軸とする。
- CoinFund
- 2015年設立のブロックチェーン特化型投資運用会社。流動性戦略部門が250 Digitalとして独立分離した。
- Franklin Templeton Digital Assets
- フランクリン・テンプルトンの既存デジタル資産部門。米国債ファンドのトークン化(BENJIトークン)など規制対応プロダクトを開発してきた。Franklin Cryptoとは別組織として並立する。
- 流動性トークン戦略
- BTC・ETHに加え、DeFiや新興ブロックチェーン関連のトークンを組み合わせたポートフォリオで超過収益を目指す運用手法。指数連動型のパッシブETFとは異なる積極的アプローチをとる。
BENJIトークンによるM&A決済の意義
今回の買収で特に注目されるのが、取得対価の一部に「BENJIトークン」を活用したという点だ。BENJIトークンは、フランクリン・テンプルトンが運用する「Franklin OnChain U.S. Government Money Fund」のオンチェーン表現であり、同ファンドの持分をブロックチェーン上のトークンとして流通させたものだ。大手資産運用会社の企業買収においてトークン化ファンド持分を決済手段として用いた事例は、業界で初めてとされる。
金融情報メディアのThe Defiantは、この取引についてトークン化が投機的実験から実務的インフラへと移行した象徴だと報じた。M&A決済にトークン化証券を組み込むことで、決済の即時性と透明性が向上するとともに、規制対応済みの金融インフラとブロックチェーン技術の統合が実務レベルで進んでいることを示す事例となった。(参考: The Defiant「Franklin Templeton Closes 250 Digital, Launches Franklin Crypto for Institutional Allocators」)
BENJIトークンはすでに複数のパブリックブロックチェーン上で流通しており、フランクリン・テンプルトンはトークン化RWA(現実世界資産)の分野でいち早く実績を築いてきた。今回の事例は、自社が発行するトークン化ファンド持分をM&Aの対価として活用するという、より進んだ応用例として業界から注目されている。
ターゲット投資家と市場への影響
Franklin Cryptoが主要顧客として想定するのは、年金基金、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)、大学基金(エンダウメント)といった大規模機関投資家だ。これらの投資家はコンプライアンス上の制約が厳しく、直接の暗号資産投資が困難な場合が多い。フランクリン・テンプルトンのような規制対応済みの大手資産運用会社が「受け皿」となることで、これまで参入障壁となっていたコンプライアンス上の問題を回避しやすくなると期待されている。
フランクリン・テンプルトンは2026年2月末時点で1.78兆ドル(約275兆円)の運用資産を有し、35カ国に及ぶ営業・販売網を持つ。Franklin Cryptoはこの既存のグローバル分配インフラを即座に活用できる立場にある。一方、既存のFranklin Templeton Digital Assetsの運用資産は2025年12月末時点で18億ドル(約2.8兆円)にとどまっており、機関投資家向け暗号資産運用市場全体の成長余地の大きさが伺える。
Bitcoin Magazineは「フランクリン・テンプルトンの1.78兆ドルのAUMが後ろ盾となり、新部門は即座に機関投資家向け分配規模を手に入れた」と報じた。(参考: Bitcoin Magazine「Franklin Templeton Closes 250 Digital Deal, Launches Institutional Crypto Division」)
機関投資家による暗号資産参入の背景
フランクリン・テンプルトンの今回の動きは、大手資産運用各社が暗号資産を本格的な資産クラスとして位置づける流れが加速する中で起きている。米国ではビットコイン現物ETFが2024年1月に承認されて以降、BlackRock、Fidelity、Invescoなど主要運用会社が相次いで参入した。
ただし、パッシブ型のETFによる指数連動運用が広がる一方で、「より高いリターンを追求するアクティブ運用」への需要も機関投資家の間で高まりつつある。フランクリン・テンプルトンが250 Digitalを取り込んだのは、こうした需要に対応するためだとみられる。DeFiや新興エコシステムを含む幅広いトークン市場への投資経験は、単純なBTC/ETH保有では得られない超過収益の源泉として期待されている。
規制環境の整備も参入を後押しする要因だ。米国では2025年7月にGENIUS法(ステーブルコイン規制法)が署名され、2026年7月18日を期限としてさらなる細則策定が進んでいる。市場構造法(Clarity Act)も立法手続きが進行中だ。規制の枠組みが整いつつあることで、機関投資家が暗号資産に資金を振り向けやすい環境が醸成されているとアナリストらは指摘する。
今後の論点
Franklin Cryptoの設立によって、資産運用業界における暗号資産のポジションは一段階引き上げられた。今後の注目点として、以下の三点が挙げられる。
| 論点 | 楽観的な見方 | 慎重な見方 |
|---|---|---|
| 機関投資家の資金流入 | 規制対応の受け皿が整い、年金・SWFからの大規模資金が流入する | ビットコインETFからの資金流出が続く中、機関需要の回復には時間がかかる可能性がある |
| トークン化M&Aの普及 | BENJIを用いた今回のスキームが先例となり、業界全体に波及する | 規制・会計・税務上の取り扱いが未整備な部分があり、慎重な事例にとどまる可能性がある |
| アクティブ暗号資産運用の競合 | フランクリン・テンプルトンの分配網を背景に、機関向け市場でのシェア確保が期待できる | Galaxy Asset ManagementやCoinbase Asset Managementなど先行プレイヤーとの差別化が課題 |
フランクリン・テンプルトン自身は具体的な運用目標リターンや資金調達目標を公表していない。市場関係者の間では、Franklin Cryptoがどれほどの機関投資家資金を短期間で集められるかが、「伝統金融と暗号資産の本格的な統合」の進捗を測る指標の一つになるとみられている。
出典
- CoinDesk「Franklin Templeton closes 250 Digital acquisition deal and sets up new Franklin Crypto division」(2026年6月23日)
- Franklin Templeton公式プレスリリース「Franklin Templeton Agrees to Acquire Liquid Strategies from CoinFund Spinoff, Launches Franklin Crypto」(2026年4月1日)
- Bitcoin Magazine「Franklin Templeton Closes 250 Digital Deal, Launches Institutional Crypto Division」(2026年6月23日)
- The Defiant「Franklin Templeton Closes 250 Digital, Launches Franklin Crypto for Institutional Allocators」(2026年6月23日)
- BusinessWire「Franklin Templeton Agrees to Acquire Liquid Strategies from CoinFund Spinoff, Launches Franklin Crypto」(2026年4月1日)
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言・投資勧誘を目的とするものではありません。暗号資産への投資はリスクを伴い、元本が保証されるものではありません。投資の最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
なお、本記事はAIを活用して作成しています。正確性に努めていますが、内容が事実と異なる可能性があります。重要な情報はご自身で公式・一次情報をご確認ください。


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