イーサリアムの開発者は9月17日から18日にかけて、次の大型アップグレード「Glamsterdam(グラムスターダム)」をテストネットSepoliaで10月6日13時53分(UTC)に起動する日程を設定した。ブロックのガス上限を現在の約6,000万から2億へ引き上げる内容を含み、メインネットでの実施は2026年第4四半期が目標とされている。
この記事のポイント
- Glamsterdamの公開テストネット起動は10月6日13時53分(UTC)。クライアント各社のソフトウェア提出期限は9月29日で、通常の2週間より短い約7日間の確認期間となる。
- 中身はePBS(EIP-7732)とブロックレベルアクセスリスト(EIP-7928)を軸にした10本のEIPで、ブロックのガス上限は約6,000万から2億へ約3.3倍に引き上げられる。
- 開発者のPotuz氏は、テスト用ETHが無償で手に入るテストネットでは偽のビルダーを大量に立てる妨害が容易だと警告した。
目次
Sepoliaフォークの日程とクライアント提出期限
Sepoliaでの起動時刻は10月6日13時53分36秒(UTC)に設定された。クライアントを開発する各チームは、9月29日までにSepolia対応版のソフトウェアを公開する必要がある(参考: Blockonomi「Ethereum Confirms October 6 Glamsterdam Testnet Launch On Sepolia」)。
提出から起動までの確認期間は約7日間で、従来の2週間程度と比べて短い。CoinCodexは、この圧縮されたスケジュールが検証時間を削ることになると伝えた(参考: CoinCodex「Ethereum Sets October 6 to Start Glamsterdam Upgrade Testing」)。
直前の準備では、非公開のDevnet-11で約84,000のバリデータを用いた合意層「Gloas」への移行が実施され、ファイナリティを維持したまま完了したと報じられている。
これまでの経緯
9月1日 バリデータ1,000でDevnet-9を起動。ファイナライズに至らず、複数の不具合が判明した。
9月中旬 Devnet-10を飛ばしてDevnet-11を実施。約84,000バリデータでGloasへの移行を完了。
9月17〜18日 Sepoliaでの起動日を10月6日13時53分(UTC)に設定。
9月29日 各クライアントのSepolia対応版リリース期限(予定)。
10月6日 Sepoliaでフォーク(予定)。
10月27日 Hoodiテストネットでの起動(暫定。Sepoliaの結果次第で変わる)。
10本のEIPとePBSによるブロック構築の内製化
Glamsterdamは、合意層の変更群「Gloas」と実行層の変更群「Amsterdam」を合わせた呼称である。The Defiantによると、確定した内容はEIP-7732とEIP-7928を含む10本で、ほかにEIP-7708、EIP-7778、EIP-7843、EIP-7954、EIP-7975、EIP-8024、EIP-8037、EIP-8159が入る(参考: The Defiant「Ethereum’s Glamsterdam Upgrade Enters Final Devnet Phase With 200M Gas-Limit Target」)。
中心にあるのがEIP-7732、いわゆるePBS(Enshrined Proposer-Builder Separation)だ。現在はブロックを提案する役割と組み立てる役割の分離をMEV-Boostなどプロトコル外のソフトウェアが担っているが、ePBSはこの分離をプロトコル自体に組み込む。Crypto Briefingは、これにより外部インフラへの依存が下がると伝えた(参考: Crypto Briefing「Ethereum’s Glamsterdam upgrade clears rehearsal for October 6 test」)。
もう一方のEIP-7928(ブロックレベルアクセスリスト)は、ブロック内で読み書きされる状態をあらかじめ列挙する仕組みである。検証側が処理を並列化しやすくなり、ガス上限の引き上げを支える土台になる。
ガス上限6,000万から2億への引き上げ
Glamsterdamが狙うのは、ブロックあたりのガス上限を約6,000万から2億へ引き上げることだ。倍率にして約3.3倍で、ネットワークの処理容量としては過去でも大きい部類の拡張にあたる。
| 項目 | 現在 | Glamsterdam後(目標) |
|---|---|---|
| ブロックのガス上限 | 約6,000万 | 2億(約3.3倍) |
| ブロック構築と提案の分離 | プロトコル外のリレーに依存 | プロトコルに内蔵(ePBS/EIP-7732) |
| 状態アクセスの事前開示 | ブロック単位では無し | ブロックレベルアクセスリスト(EIP-7928) |
手数料への影響について、Crypto Briefingは一般的な操作で78.6%の低下が見込まれるとの試算を紹介している。ただしこれは目標値に基づく推計であり、実際の手数料は利用状況と実際に設定されるガス上限に左右される。
テストネット固有の妨害リスクと開発者の警告
ePBSの導入にあたり、開発者のPotuz氏はテストネット特有の問題を指摘した。同氏は「ビルダーを1,000個立ち上げ、それらを入れ替えながら非常に高い入札を出し、ブロックの中身を出さないということができる。ティーンエイジャーでもやれる」と述べたと報じられている(参考: CoinCodex「Ethereum Sets October 6 to Start Glamsterdam Upgrade Testing」)。
ePBSではビルダーが入札してブロック構築の権利を得る。メインネットでは入札に実際の資金が必要になるため攻撃には費用がかかるが、テストネットのETHは無償で入手できるため、その歯止めが働かない。落札しておいてブロックを出さない行為を身元を変えながら繰り返されると、代替手段の発動が追いつかず、ネットワークが止まりかねないという指摘だ。
これは実装上の欠陥というより、テスト環境の経済的前提の違いに起因する論点である。Sepoliaでの起動が妨害を受ければ、他の開発チームによる検証も滞ることになる。
用語の整理
ePBS(Enshrined Proposer-Builder Separation): ブロックを提案する人と組み立てる人を分ける仕組みを、外部ソフトではなくプロトコル自体に組み込むこと。
ガス上限: 1ブロックで処理できる計算量の上限。引き上げれば処理容量は増えるが、ノードの負荷も増える。
Sepolia/Hoodi: イーサリアムの公開テストネット。本番前の検証に使われ、流通するETHに金銭的価値はない。
ファイナリティ: 取引が覆らない状態として確定すること。テスト中にこれが止まる現象は、合意形成の不具合を示す。
メインネット実施に向けた論点
メインネットでの実施時期は2026年第4四半期が目標とされているが、具体的な日付は決まっていない。Hoodiテストネットでの起動は10月27日とする報道があるものの、開発者はSepoliaの結果を見てから判断する姿勢で、確定していない。
直前のDevnet-9では、9月1日の起動後にファイナライズしない状態が続いた。当時、イーサリアム財団のStefan Starflinger氏はこの結果について「まだかなりの数のエッジケースと問題があることを示した」と述べたと伝えられている(参考: CryptoPotato「Ethereum Targets October 6 for Glamsterdam Sepolia Fork」)。その後Devnet-10を飛ばしてDevnet-11に進み、今回の日程設定に至った。
価格面では、CoinCodexが記事内でETHを2,627.34ドル(変動率0.08%)としており、日程発表による大きな変動は確認できていない。編集部の見方では、当面の焦点は価格よりも10月6日の起動が計画どおり進むかどうかにある(根拠: メインネットの日程がSepoliaとHoodiの結果に条件づけられていると各社が伝えているため)。過去にもDevnetでの不具合を受けて日程が後ろ倒しされた経緯があり、第4四半期という目標が動く可能性は残る。
出典
- Crypto Briefing — Ethereum’s Glamsterdam upgrade clears rehearsal for October 6 test
- Blockonomi — Ethereum Confirms October 6 Glamsterdam Testnet Launch On Sepolia
- CoinCodex — Ethereum Sets October 6 to Start Glamsterdam Upgrade Testing
- The Defiant — Ethereum’s Glamsterdam Upgrade Enters Final Devnet Phase With 200M Gas-Limit Target
- CryptoPotato — Ethereum Targets October 6 for Glamsterdam Sepolia Fork
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